フランスに限らず、一般的に喪服のカラーは黒ですが、昔から黒だったわけではありません。
西洋では中世まで、黒にはネガティブなイメージが強かったため、喪服の色でさえも白・黄色・黄褐色・菫色がほとんどでした。
しかし14世紀の終わり頃になると、高位の人々の衣服に黒が採用されるようになりました。
フランスでもこの流れが入ってきたのですが、15世紀の半ば頃にフランスのブルゴーニュ地方を治めていたフィリップ3世が黒い喪服を積極的に着用したことで、徐々に定着していきます。
またフィリップ3世は当時のファッションリーダーでもあったため、この流れに拍車をかけました。
ただし完全に浸透したわけではなく、19世紀の始め頃まで、黒と白の縞模様や灰色、白いフリルなども着用され続けました。
つまり現在のフランスの喪服スタイルは、まだまだ歴史が浅いといえます。